信濃木崎アウトドアステーション・グランドオープン報告

6月15日、来店者に登山部の説明、キャンプに合わせ防災に使える用品の紹介を行い、午後に二つのイベントを行ないました。

(1)スキーでの黒部最速横断記録と雪の黒部を守る暮らしの紹介

~スキーでの黒部最速横断記録~

若手気鋭の登山ガイド渋沢暉さんが友人の嶋さんと成し遂げた8時間22分での雪の黒部横断の実際を写真や使用した装備の紹介を交えレポート頂きました。参加者から多くの質問がありました。

驚くべき行動能力ですが、そのスピードを実現する軽量化されたスキー板は岩などにぶつけると簡単に壊れてしまうため、下りでは注意深く滑るラインを選んでいく必要があること、

雪質の変化、雪崩を警戒して各ポイントを通過する時刻を逆算想定してスタート時間を設定していることなど、記録が体力、技術、緻密な準備があって実現したものであることを感じました。

~雪の黒部を守る暮らしの紹介~

・ヨーロッパアルプス・グランドジョラス北壁やアラスカ・デナリなどを登られている長野県山岳協会前指導委員長の中村和義さんは28年間、関電アメニクスに勤務されていました。

・黒部では厳冬期でも関西電力の施設である黒部ダム、黒四地下発電所、仙人ダムなどが稼働しており、長野県大町市の扇沢から各施設にアクセスをしているそうです。扇沢までも無雪期に利用している道路は雪崩が出るポイントがあり、 積雪が増えてくると迂回路を取っていること、扇沢から黒部ダム、黒部ダムから作廊谷宿舎までは地下トンネルをマイクロバスを利用し、その先はインクラインと呼ばれる地下ケーブルカーで黒四発電所まで下るそうです。

・黒四発電所から先は上部軌道と呼ばれるトロッコ電車で無雪期は欅平まで移動するそうです。

・一年を通じ、発電施設を動かし、黒部川を守る暮らし、特に雪に囲まれた時期の黒部での暮らしは厳しいながらも普通には見ることができない黒部の山、川を見ることができ素晴らしいものだったそうです。

(2)災害への備え ワークショップ  16時~17時

・カイラスの代表者廣川健太郎さんは大学2年の時にネパールヒマラヤダウラギリⅡ峰登頂。そのほか49歳でスイスアルプス・マッターホルン北壁を冬期登攀。国内外でアイスクライミングなどをおこなってきたアルピニストですが、東日本大震災以来、この10年で約100回、365日以上、被災地支援活動に参加されたそうです。

・またKDDIの通信インフラ建設・保守会社で災害対策担当を8年ほど務めていたそうでボランティア、通信会社の災害対策担当の経験を踏まえた説明ののちワークショップが行われました。

災害対策に関わって感じたこととして

(1)備えるに越したことはない→後悔先に立たず

耐震対策、非常時の連絡方法をあらかじめ家族で確認、常に携行する災害品を考えておくことが大切

(2)被害が大きくなるポイントを学ぶ

水害=車が被災しないよう早めに避難する。一般的に1階の電化製品、キッチンなど設備被害が大きい。水害が想定されるエリアは2階に水回りを置くことも有効。水害での停電が考えられる時はブレーカーを落として避難すること。復電時に漏電火災が多く発生している

地震=旧耐震構造で屋根瓦が重いと被害が大きくなる、ブロック塀が危険

災害への備えについては(0次)普段からの備え、(1次)いざという時3日間程度への備え、(2次)発生後ライフライン復旧までに分けて、どのような備えを考えるべきか説明がありました。その後参加者の居住エリアごとの災害リスク、それぞれの住居に固有のリスクを各自が報告・意見交換を行なうワークショップが行われました。